2015.09.20-22 北方稜線を辿り剱岳へ
- 2015/09/23(Wed) -
北方稜線 馬場島~赤谷山~白ハゲ~小窓~大窓~剱岳~早月尾根~馬場島                                                    
【日付】2015.09.20-22 前夜発 2泊3日   
【メンバー】 2名
<概要>
北方稜線(ほっぽうりょうせん)、ネーミングの良さから色々な記事を発見出来きますが、おおよそ剱岳から池ノ平山までトレースをして北方稜線を歩いたと書かれています。が、実際の北方稜線は宇奈月温泉~毛勝三山を経て池ノ平山から剱岳に伸びる長大な尾根であります。稜線の半分は道がありません、北方稜線から剱岳に登ると言う事は遥か彼方の霊峰へ厳しい稜線からじわじわと登り近づいていく事で、とてもストーリー性もありドラマであると私は思いました。しかしそのドラマは簡単で無く、今まで味わった事のない内容が盛り沢山で3日間に及ぶ死闘、壮絶な経験となりました。3日間水は無く、小屋も有りません、途中で水を11リットル担ぎ、テントも張る場所も乏しく、登山道も無く、灌木、ハイマツの藪漕ぎが延々続きます。加えて、草付きのトラバース、岩登りに懸垂下降、アイゼンを履いて雪渓のトラバース、難しいルートファイティング、次々に遭わられる困難に打ち勝って本峰の地を踏める事は感無量の深い感動となりました。

9/20 6:00馬場島~10:00ブナクラ乗越~13:20赤谷山~14:00白萩山コル
9/21 6:00コル~10:30大窓~12;15大窓頭~14:00池ノ平北峰~15:50池ノ平南峰
9/22 5:30池ノ平山~7:15小窓~10:00三ノ窓~11:00池ノ谷乗越~13:00本峰~
16:00早月小屋~19:30馬場島

9/20 馬場島を出発、まずは赤谷山を目指します。登山口が不明瞭で分かりにくい。沢を渡渉し高度を上げて行く、標高1320m辺りの戸倉谷が最後の水場であるが高度計がずれていて先に進めてしまう。少し上のタクラ谷で水を取ろうとするが無理であった。水を節制しながら標高1000mを登りきるとブナクラ乗越、紅葉が広がる猫又山を背に赤谷山(あかたんやま)を目指します。赤谷山までは道があるが、しっかりした道ではないので歩きにくい。更に高度を400m上げて13時20分赤谷山。山頂直下に雪渓を確認、すぐに水を取りに行く。冷たくて美味しい。2人で11リットルの水を確保し、担いでいく、重い。持ってきた酒類は1.6リットル、液体だけでも相当な重さだ。いよいよここから北方稜線の核心に入っていく。いきなり道は不鮮明、薄い踏み跡を辿りながらハイマツ帯に入っていく、稜線通しに行くのだが少し下ってしまいミスルート。背丈より高いハイマツのヤブ漕ぎに体力を奪われながら白萩山のコルに出るとそこは別天地だった、草原が広がり地糖があります。すぐにテントを張りビールで乾杯。疲れ切って18時30分には眠りに入り4時まで寝てしまう。

9/21 後立連峰に雲海が広がる。少し登ると昨日登った白萩山の紅葉も鮮やかである。眼の前に見える赤ハゲ、白ハゲはヤブが濃いそうである。気合を入れて朝一番から急登を登る。赤ハゲの山頂はハイマツが濃かった。ここから白ハゲまでは岩稜帯と藪のミックス。時折、岩峰で行く手が阻まれる。重い荷物で岩を登る、失敗は許されない。白ハゲに着くとそこもまた別天地で草原が広がる。気持ちがいいのでゆっくり休憩をする。休憩していたら辺りがガスに包まれる。ここから大窓に下るのだがガスで視界が無く、途中で踏み跡もなくなりヤブ漕ぐ。すると右方向にガレを下る人が見えたのでそちらに合流し情報交換するが道がよく分からない。本来なら稜線を大きく外す事はないのだが歩きやすい方に下ってしまう。

視界がないので錯覚に陥る。HさんがGPSで位置を確認すると中仙人谷へ下っている。
これはまずいと思い、大窓まで200mを登りかえす。向こうのパーティーも不安であったのだろう、ガスで見えない私達に時折大声で話かけてくる。大窓のコルを発見した所で後続パーティーに道を促す。大窓で情報交換し私達は先を進めるが以後、この人達に会う事はなかった。
まったく景色がないまま標高差300mほどあるだろうか?急登の大窓頭をあえぎながら登る。大窓頭ではライチョウが出迎えてくれた。たまたまガスが消え視界が広がると進行方向の稜線は険悪で、
痩せた尾根、脆そうな岩稜が池ノ平山に続いていました。記録でも時間がかかっているので、苦労すると思っていました。途中、偵察に行く踏み跡が沢山あり、私達もつられて入るので、ますます踏み跡が明瞭になります。何度かミスルートを繰り返し、危なそうな岩5mをロープを出し登りました。池ノ平北峰に着くと景色が広がり、ここでようやく剱岳が見えました。しかしその姿を見た私達は絶句してしまいます。ここから見る剱岳はあまりにも大きく、高く、そして遠く、相当な威圧感が私達に襲い掛かりました。よくみると遠くの池ノ平南峰に人が見えます。Hさんが叫ぶと声が山彦します。大きく手を振ると向こうも手を振ってくれました。これには感動。予定より時間が遅いので先を進めます。脆い岩峰を登ったり下ったり、最後は10mの垂壁はロープを出して登りました。
15時50池ノ平南峰、ガスで何も見えません。ここから小窓まで2時間、難路が続くので行くか?行かないか?悩みます。協議の結果、ここでビバーグする事としましたが、平坦地は有りません。ウロウロしても時間のロスなので傾斜が20~30度あるだろか?そんな場所にテントを張りました。もちろんかなりの斜めです。しかし張ってしまえば中は天国、ビールで乾杯しウイスキーを飲むとほどよく酔い気持ちよく眠れました。この何処でも寝れるのが私達の強みです。

9/22 3時30分起床。満点の星空。眼の前に大きく聳える剱岳と八峰の岩峰はここならではの景色です。五龍岳の肩から朝日が上がり剱岳を赤く染めます。大展望を見ながら急斜面で用意を始め歩きます。草付きをトラバースしハイマツに入っていきます。3日目もまだハイマツ帯があり、もうそろそろうんざりしてきました。よく見ると4人のパーティーが見えます。話を聞くとハイマツの上でビバーグしていました。私達よりツワモノが居ると思うと笑えました。岩尾根は痩せ、高感度がありゾクゾクします。急傾斜の岩場下りにはロープが設置されていますが古く、信用なりません。出来る限り体重をかけずに下ります。最後、小窓に降りる垂壁は10mの懸垂下降で下りました。ここは懸垂下降が安全でした。小窓で一息、小窓雪渓を登ってくるパーティーも見えます。さて、ここから本格的な岩稜帯です。小窓の頭をトラバースし、小窓王に向かいます。谷に落ちる急な雪渓が出てきました。失敗すると奈落の底です。雪は固く滑りそうです。ここを渡る為に持ってきたアイゼンを付けザイルで確保しました。そこから先はザレ場。ルートが分かりません。この辺りはよく踏まれていると思っていましたが道はありません。薄い踏み跡を追い稜線へ戻ります。ガレ場を登ると小窓王。池ノ谷ガリーが眼の前に飛び込んできます。ガリーを見て二人とも絶句、ガリーはあまりにも傾斜がキツク、ガレ場でとても登りそうには見えません。出来る事なら帰りたいぐらいです(笑)登っている人も見えます。三ノ窓で休憩。いずれ来るだろうか?チンネ左稜線の取り付きを確認しに行きます。確認が終わった所でガリーに取り掛かります。ガリーに取り付いてみると意外に簡単に登れます。よく考えるとここまで来るまで相当な悪路を辿ってきた私達には意外に容易でした。1時間でガリーを登ると八峰を攀じたクライマーが沢山見えます。長次郎谷右俣を登ってくる人も見えます。ここはクライマーの聖地だと思い改めて感動しました。ここから先ルートが分かりません。理解しにくい矢印に向かい登るとチムニーに入りました。後方からHさんが叫んでいます。周りが血だらけになっています。どうやらルートを間違えたようです。重い荷物でクライムダウンが出来ずフリーでヒヤヒヤする所をやっとの思いで登りHさんを確保します。よく見ると左手にルートがありました。北方稜線はルートを間違うと進退窮まる思いをするので要注意です。この辺りは何とかなると思い下調べしてませでした。人通りが多いので踏み跡が錯綜しています。稜線通しは危ないと思い下方の巻き道を求めましたが結果、巻き道はミスった時のリスクが大きいと思いました。再び間違い登り返し。

この辺りはこれの繰り返しで少々疲れてきましたが、ロケーションは抜群、ギザギサの八峰、熊の岩のテン場、背後に後立山連峰、剣沢雪渓の紅葉、立山三山の紅葉、雲海、そして鋭い岩峰の数々、この全てを見ながらの大パノラマは感動的でした。長次郎の頭を下り登りかえすと、まだ先だったと思った本峰が眼の前に飛び込み、今回のストーリーが完結したことを実感できました。クライマーで賑わう山頂で記念撮影を撮ります。疲れ切った一般登山者の方が水が無いので少し分けて貰えないかとお願いされたので自分の水もままならないHさんではありましたが、快く分けてました。(今から雷鳥沢に戻ると・・・そりゃ無理でしょう)そして紅葉の進んだ早月尾根を下ります。早月小屋に着いたのは16時、ここでもう一泊も考えたのですがHさんに意見を求めた所、「意味の無い宿泊は不要だと」力強い言葉を頂いたので馬場島に下山する事に決めました。彼女も素晴らしい力が付いたと実感し、残り1時間半は真っ暗な登山道を下り19時30分馬場島に戻りました。本日14時間行動。馬場島ではお風呂に入れなかったので立山IC近くの温泉で疲れをいやしゆっくり食事をし、一気に大阪に帰りました。Hさんを自宅まで送り、私が自宅に帰ったのが早朝3時半。長い、長い一日ではありましたが充実感は十二分でした。

後書き
北鎌に行った時に、こんなしんどい山行はもう早々ないだろうと感じていましたが、今回の山行はそれを上回るものでした。二人で力を合わせドラマが無事完結出来た事に感謝しています。
今度は毛勝三山も回ってみたいものです。

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馬場島に車を停め歩きます。登山口は分かりにくい、
ダイモンジソウ
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標高差1000mのブナクラ峠はまだまだ遠い
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ガレ場が来るとブナクラ乗越は近い
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ブナクラ峠
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登ってきた沢を振る返る
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稜線に出ると景色が一転、赤谷山を目指します。
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この辺りの標高が一番紅葉が綺麗でした。
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赤谷山
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雪渓がある 命の水を11リットル汲む
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季節外れのチングルマ
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赤谷山に平坦地 本当はここで泊りたかったが・・・先を進めた
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ここから先は藪山、白萩山を目指します。
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藪はこの程度はかわいいもの
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白萩山のコルにテントを張る (本来は幕営禁止であるので注意 周りも踏む荒らさない様注意も必要)
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夕方の雲海
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赤ハゲ、白ハゲが見える
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振り返ると昨日登った白萩山が綺麗
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深い藪をこいで赤ハゲ山頂。山頂は何もない
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白ハゲは岩峰が続く 奥に池ノ平山と剱岳
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白ハゲを登っていく クライミング技術が必要
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迷いに迷って 大窓に
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ガスの中、大窓頭を目指す
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よく見えないが鋭い岩峰やナイフリッジを通過していく
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池ノ平山が見えた(この先、まだまだ険しい)
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10mの壁を確保している所
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ようやく池ノ平山
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9/22
後立山連峰から朝日が昇る
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剱岳が赤く染まる
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池ノ平山から小窓に向かう 馬の背
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小窓の王が同じ高さに見えてきた(一旦下って登り返す)
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ここから小窓まで急下降
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小窓雪渓が良く見えた
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小窓雪渓を背後に見ながら小窓の王に向かい急登を登る
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先ほど歩いて来た尾根を振り返る
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アイゼンを付け雪渓を渡る
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横断した雪渓を振る返る
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小窓王に向かうガレ場(歩行が難しい) 赤丸がHさん
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悪名高き 池の平ガリー
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よく見ると人が登っている(あの人達が登ってから私達は登りましょう)
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三ノ窓よりチンネ左稜線
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左稜線の取り付き 逆4字を確認しておきます
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振り返ると先ほど小窓王から下ってきた道に人が見えます。
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池の平ガリーを上がっていきます
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池の平乗越から八峰の頭に沢山のクライマーが居ました
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剣沢小屋が良く見えます(紅葉も綺麗です) 奥には立山三山
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遠く槍ヶ岳
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八峰
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剱岳はもうすぐです。
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長次郎ノ頭を巻く登山者(この辺り複雑に道が入り組んでいます)
場所によっては危険個所も多数
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ようやく剱岳本峰
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剣沢方面と別山尾根
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紅葉拡大
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富山湾側は雲海
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早月尾根を下っていきます(カニのハサミ)
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早月尾根から剱岳
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早月小屋は空いていました。
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そして・・・19時30分 馬場島に戻りました。
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